七隈の家










ここに入った瞬間、まず感じてほしいのは、静かでやさしい空気です。派手な装飾や強い主張は意図的に控え、日々の暮らしの中で自然に心がほっとする瞬間を大切にしました。
街にそっと寄り添いながらも、確かな存在感を放つこの住まいは、シンプルで整ったフォルムに柔らかなラインを加え、周囲の景色に自然に溶け込むようデザインしています。
室内に入ると印象は一変します。木の温もりを生かしたシックな内装は、間接照明や家具との調和でやわらかな光に包まれ、心地よい静寂をつくり出します。リビングの大きな窓から見える緑が、内と外をつなぎ、家族の会話や笑い声が自然に響く空気感を生み出しています。
この家で意識したのは、デザインの華やかさではなく、暮らしそのものの上質さです。建築は、住む人の時間や感情に寄り添って初めて完成すると考え、この家全体でその思想を表現しました。
朝の光に目を細めるひととき、雨音を聞きながら過ごす夜、季節の移ろいを感じる窓辺の風景。それらすべてが、日常を豊かにしてくれます。
七隈の家は、単なる建物ではなく、人の心をそっと整える居場所です。ここで過ごす時間こそ、この住まいの本質なのです。




